https://news.yahoo.co.jp/articles/f10cb4707e90cc80036b11af800ccfd810c9867b
ベースのお酒はアルコール20度以上Q.酒税法では、お酒を造る人は製造免許を受けること(同法7条)と定めています。免許を持たない一般市民が自宅で梅酒を造る場合、どういう条件を満たせば法的に問題ないのでしょうか。
担当者「酒税法の根拠条文としては、43条の『みなし製造』という規定の中にあります。43条ではまず、『酒類に水以外の物品を混和(混ぜること)した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなす』と記載しており、『お酒に何かを混ぜることをお酒造りとみなす』としています。
その上で、『みなし製造』の例外となる行為を挙げており、43条11項で梅酒関係について触れています。一部を抜粋すると、『消費者が自ら消費するため酒類と他の物品との混和をする場合』は無免許製造に該当しない、ということになります。ただし、酒税法施行令などで条件が示してあります。
(1)ベースとなるお酒は、アルコール度数が20度以上のもので、かつ酒税が課税済みのもの
(2)混ぜていい物品は、糖類と梅、あとは財務省令で定めるもの
(3)混ぜた後にアルコール度数で1度以上の発酵がないこと
(4)米、麦、トウモロコシ、ブドウ、アミノ酸などは使ってはいけない
(5)できたお酒を販売してはいけないこうした条件を守っての梅酒造りは、違法行為には該当しません」
Q.米やトウモロコシ、ブドウなどを加えてはいけないのはなぜですか。
担当者「これらは発酵が起きやすく、1度以上の発酵につながる可能性があるからです。ブドウは天然の酵母が付いていて、果実をつぶして放っておいても、糖分と酵母によって発酵が始まることがあります。米やトウモロコシなども糖分を含んでいるので、お酒と混ぜると発酵が起きやすくなります」
Q.梅酒造りに使うお酒のアルコール度数を『20度以上』に限定しているのはなぜですか。
担当者「20度以上あれば、新たな発酵が起きにくいからです。アルコール度数が高いと、酵母の働きを抑制するのです。そのため、線引きとして20度以上としています」
Q.梅酒造りには焼酎などの蒸留酒を使うことが多いですが、20度以上であれば、日本酒やワインなどの醸造酒を使ってもよいのでしょうか。
担当者「清酒(日本酒)は酒税法上、アルコール度数が22度未満のものとされています。あまり見たことはありませんが、20度以上であれば清酒で梅酒を造ってもよいです。ワインなどの果実酒は、酒税法上20度未満のものとされています。そのため、ワインは家庭での梅酒造りには使えません」
Q.自家製梅酒造りは「自ら飲むため」はOKで、販売はNGということですが、無料で友人・知人に振る舞うことは問題ないのでしょうか。
担当者「自分が梅酒を飲む際、友人や知人にも無料で振る舞うことは問題ありません。お裾分けも程度にもよりますが、若干量を無料で分けるのは可能かと思います。ただ、あまり大量になってくると、全然問題ないと言い切れるか難しくなってくるかもしれません。『社会通念上の範囲内であれば問題ない』というところだと思います」
Q.「アルコール分が1度以上の発酵がない」ことが条件ということですが、梅酒を漬けていてアルコール度数が上がることはあるのでしょうか。「梅酒造りで蜂蜜をたくさん入れたら泡が出てきた。発酵しているかも…」と心配している知人がいます。
担当者「酒税法などで定められた材料を使っているのであれば、発酵してアルコール度数が上がることは、まずないと思います。蜂蜜を使っていて泡が出たとしたら、蜂蜜の中にもともと入っていた空気が出てきた可能性があります。仮に蜂蜜の糖分で微細な発酵をしたとしても、それで1度以上アルコール度数が上昇することは考えられません」
Q.ちなみに、赤ワインにオレンジなどの果実を漬けた「サングリア」を自分で造ることは、法的に問題があるのでしょうか。
担当者「サングリアは、果実酒にオレンジなどを漬け込んだものです。先述した通り、果実酒はアルコール度数が20度未満なので、ベースのお酒としては使えません。違反の例外として考えられるとすれば、酒税法43条10項の『消費の直前において酒類と他の物品との混和をする場合』です。例えば、カクテルは、お酒を飲む直前に混ぜますから、例外扱いです。
しかし、サングリアはワインに果物を漬けておいたり、寝かせたりするのが一般的です。そうなると、『消費の直前の混和』には当たらないので違法となります」
Q.梅酒造りで違法行為をしてしまった場合、どのような罰則があるのでしょうか。
担当者「自分で造った梅酒を販売したり、20度未満のお酒を使って梅酒を造ったりした場合、『無免許製造』に該当します。酒税法54条の1項で、10年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰が定められています。
ただし、無免許製造を把握した場合でも、通常は即逮捕とはならず、調査を行い、どれだけ造っているかなどを確認して、罰金相当額を納めさせることになります。梅酒造りではありませんが、韓国居酒屋などでよく出てくるお酒『マッコリ』を無免許製造したとして、国税局から酒税法違反を指摘されたという実例があります」
オトナンサー編集部
母が元気だった頃は、梅酒と杏酒を造ってくれて、それが、夏の楽しみでした。
(2)混ぜていい物品は、糖類と梅、あとは財務省令で定めるもの
杏酒は、もしかして、ダメだったんでしょうか・・・・。
もし、将来、自分で杏酒を造りたい、と思ったときは、調べてからの方がいいですね。