ほぼすべての金持ちがいなくなったニューヨーク に私がとどまり続ける理由

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■テレワークは安上がりで効率性も高いが、失うものも大きい

また、私たちは一つなのだということを世界の人々に感じてもらいたいという気持ちもある。私は、人の出身国など気にしたことはない。ユーラシア・グループはグローバル企業であり、私自身、仕事で世界中を旅している。国が違っても、人命の大切さは同じだ。

――あなたは、文字どおりジェットセッターとして、世界中を飛び回っていました。でも、感染拡大後はテレワークに専念しています。危機収束後も、出張や対面ミーティングをテレワークで代替させる予定はありますか。

テレワークは安上がりで効率性も高いが、失うものも大きい。ビデオや電話による会話は、まず目的ありきで行うため、自発性に欠ける。つまり、ランダムに人に会ったり、多くの時間を人と過ごしたりといったことが難しいからだ。仕事は数多くこなせるが、思いがけないことや出会いに遭遇できない。テレワークは創造性や豊かさの点で、旅行や移動で人と出会ったり話したりすることにはかなわない。

世界を理解する唯一の方法は、その場所に赴き、現地の人と時間を共にすることだ。この何週間、私がやってきたように、テレワークでも世界中の人々と一日中、話すことは可能だ。しかし、世界の国々がどうなっているのかを深く知ることはできない。

■ワクチンが開発されない限り、経済は正常に機能しない

こうしたことすべてが、景気回復の重要な要素になる。あと1〜2カ月で人々が職場に戻ったり、店舗が再開したりしても、経済が一気に回復し始めるわけではない。V字回復は期待薄だ。状況が後退する可能性もある。ワクチンが開発され、世界規模での普及が可能にならない限り、経済の多くの部分は正常に機能しないだろう。

経済活動再開の時期については、人命救助との間でバランスを取るべきだ。最初の数週間は、イタリアのような医療システムのひっ迫を回避するために人命救助を最優先する必要があった。だが、(病床数や人工呼吸器の増量などで)医療現場のキャパシティーが大幅に増えた今となっては、経済と人命のトレードオフ(バランスを取ること)について、よりクリアに考える必要がある。

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