自分の「血管年齢」はどうすれば分かる?

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自分の血管年齢はどうやって調べる?

正解は、(3)病院で専用の測定機器で測るです。

「人間は血管から老いる」などと言われるように、血管を若く保つことは健康寿命を延ばす上でとても大切です。

そもそも高血圧や脂質異常症などの生活習慣病がなぜ問題になるかといえば、動脈硬化を進めるためです。動脈硬化は文字通り、血管が硬くなり柔軟性がなくなっていくことを指します。動脈硬化が進行すると、脳卒中や心筋梗塞で命を落とすリスクが高くなります。

会社などで受ける健康診断でも、血圧やコレステロール値は調べますが、ズバリ動脈の硬さは教えてくれません。自分で動脈硬化の状態を知ることはできないのでしょうか。

循環器系のエキスパートとしてテレビ出演も多く、「血管先生」の異名も持つ池谷医院(東京都あきる野市)院長の池谷敏郎先生は、「残念ながら、脈拍を調べるのとは違って『動脈の硬さ』は外から手で触ってみても分かりません。専用の測定機器で測るしかない」と話します。「一般に年を取るほど血管は硬くなっていきます。血管が何歳相当の硬さかを示すものが血管年齢です」(池谷さん)

血管年齢の測定方法は具体的に2種類の方法があります。1つは「加速度脈波検査」。これは人差し指を機械(センサー)に入れて、指先の脈波の形を数値化して血管年齢を推定します。もう一つは「PWV(Pulse Wave Velocity=脈波伝播速度)検査」です。左右の上腕、足首で血圧と脈波を測り、動脈内を脈がどのくらいのスピードで伝わったのかを計測し、その速さから血管年齢を推定します。

「全身の血管はつながっています。血管を桜の木に例えると、枝の先に咲いた花の部分を見るのが加速度脈波検査で、幹の部分を調べるのがPWV検査。幹と花、両方を調べるのがベストです」(池谷さん)

●どこに行けば、血管年齢を調べられる?

最近では、血管年齢という言葉も広く知られるようになってきました。しかし、通常の健診では血管年齢までは調べてくれません。前出の加速度脈波検査やPWV検査はどこで受けられるのでしょうか。

池谷さんは、「自宅で加速度脈波を調べる機械も売られていますが、指先などの末梢は自律神経の影響を強く受けます。寝不足やストレスで大きく変わります。もちろん、それなりに意義はあると思いますが、やはり医療機関できちんと調べたほうがいいです」と話します。

「血管や動脈硬化を専門にした循環器系の病院・クリニックであれば、加速度脈波検査かPWV検査の少なくともどちらかは受けられます。特に糖尿病や高血圧などの生活習慣病があって動脈硬化が疑われる人は、保険診療で血管年齢の検査ができます」(池谷さん)

ただし、厳密には血管年齢だけで血管の老化は判断できないとも池谷さんは話します。「動脈硬化が進んでいくと、血管の中にコレステロールという柔らかい雪が積もっていき、それでコブができて、その下(血管)が硬くなっていきます。しかし、柔らかいコブだけがメインの段階では下が硬くならないので、血管の硬さだけを見る血管年齢では老化度合いが分かりません」(池谷さん)

池谷さんは、「頸動脈エコーという検査で調べれば、柔らかいコブの状態も確認できます」と話します。できれば、頸動脈エコーの検査も受けて、そのコブの状態も合わせて調べるのが理想的です。

※この記事は、「『血管年齢を若返らせるにはどうすればいい?』読者の悩みに名医が回答!」(執筆:伊藤和弘=フリーランスライター)を基に作成しました。

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