私が参謀として仕えた社長は、そういう人物でした。彼は、私が秘書課長に任命されたときに、「お前はおとなしそうに見えるが、上席の者に対して、事実を曲げずにストレートにものを言う。俺が期待しているのはそこだ」と言いましたが、そのときに、こう付け加えたのです。
「誰でも、社長になったとたんに裸の王様になる。俺も、すでにそうなってると思うが、それはとても恐いことだ」
つまり、彼は「人間の愚かさ」を自覚し、自らがそこに陥るのを恐れていたということ。このような自己認識をもたれていた一点だけでも、私は立派な人物だったと思っています。
優れた参謀は、上司を「人」ではなく「機関」と 考えてサポートする
