中国人ビジネスマンと日本人ビジネスマンのお金に対する考え方がいかに違うか。『チャイナハラスメント 中国にむしられる日本企業』の著者、松原邦久氏は、その一端をカラオケバーでの振る舞いの差から説明している。
あるとき松原氏は、中国人の友人に連れられて中国人が集う高級カラオケバーに足を運んだ。入り口で最初のビックリが待っていた。歓迎の挨拶は、ママさんが上着をはだけて「ナマ乳」でする顧客へのハグなのだ。
ビックリはさらに続く。中国の高級カラオケバーでは客の横に女性がつくのが一般的だが、このカラオケバーでは、顧客が女性を指名すると、指名された女性はスカートをたくしあげ、下着を膝まで下ろして顧客の前でくるりと一回転するのだ。
友人の中国人は遊び慣れているのか、ママさんが「この子でOKか」と聞くと「ノー」を出して、女の子を換えることを楽しんでいる。「女性がかわいそうではないのか?」と聞くと、「300元(約6000円)も支払うのだから当然だ」と全く悪びれる様子がない。
ハナからこれだけの「サービス」を行う店だから、その後の展開は推してしるべしである。
実は、日本人が集うカラオケバーでも、チップの額は同じく300元が相場。ただし、日本人向けのカラオケバーでは、せいぜい「おさわり」が大目に見られている程度で、「300元に値するサービス」を要求する中国人向けのカラオケバーとは雲泥の違いがある。
「この厳しさの差というか、えげつなさの差が、ビジネスの世界にもあるように感じている」と松原氏は記している。
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『チャイナハラスメント 中国にむしられる日本企業』では、改革開放以来30年の変遷を見てきたスズキの元中国代表が、中国でのビジネスで当たり前に見られる詐欺的な契約、デタラメな規制、企業間取引にも持ち込まれる「反日」などについて徹底解説。併せて中国でのビジネスに求められる「冷徹な戦略」についても詳述している。
デイリー新潮編集部