旅行需要喚起策「Go Toトラベル」事業は東京都だけを外してスタートす
ることになった。旅行ツアーでは早くもキャンセルが相次ぎ、混乱が広がる。「やっとここからって時に……残念です」
旅行会社「四季の旅」(東京都)では16日夕方から17日にかけ、予約キャンセルの電話やメールが殺到した。同社のツアーの95%は東京発着で、会員約6万人の約7割は都内在住者。大半のツアーや旅客が対象から外れるという。
2月下旬以降はツアーを全て中止し、緊急事態宣言解除までの約3カ月間の売り上げは前年比99%減に落ち込んだ。宣言解除後は少しずつ旅行客も戻り始めたが、それでも前年の7割程度。「Go To」効果に希望を託し、夏の巻き返しを目指して多くのツアーを用意していた。
土屋俊一代表(48)は「感染者が急増している中、大切なお客さんに『それでも旅行に行ってください』とは言いにくい。会社としては苦しいが、今はこれで良かったのかなって言い聞かせている」と苦しい胸の内を明かした。
旅行業者などが加盟する「東京都旅行業協会」の植竹孝史専務理事(67)によると、加盟社からは16日以降、「なぜ東京だけなんだ」「この先どうしたらいいんだ」という問い合わせが相次いでいるという。植竹専務理事は「都内の旅行業者にとっては致命的な状況。弱り切っている」と話す。
植竹専務理事は団体旅行を中心に手がける「関東観光社」(東京都)の代表も務める。同社には夏場の予約キャンセルだけでなく、秋以降の予約も「保留させてほしい」との連絡が寄せられている。「希望が打ち砕かれました。9〜11月は団体旅行シーズンでかき入れ時。いつ収束するのか不安で仕方ない」とため息をつく。
◇観光地「大きな損失」「国はきちんと説明を」
東京からの客を期待していた地方の観光地もショックは大きい。
一番のかき入れ時を迎えるはずだった長野県軽井沢町。17日に通常営業を再開したばかりの「旧軽井沢ホテル東雲」の予約担当者は、「1週間ほど前には殺到していた申し込みが鈍り始めた」と明かす。お盆の時期の宿泊予約も7割程度。「夏になれば感染が収束すると考えていたが、また目に見えて増え始めた。感染動向や国の動きを見守っていくしかない」
観光客の行き交う「軽井沢銀座」で餅やかき氷が人気の「ちもと総本店」も来店客が例年の1割ほどに。従業員の女性は「キャンペーンに関する報道は日々状況が変わっていく。国には早くきちんとした知らせを出してほしい」と訴えた。
国内外から年間130万人が訪れる北海道登別市の温泉街。その予約販売を受け付ける「野口観光札幌営業所」の野口晶弘・営業副本部長(38)は「多くの消費者を抱えるマーケットが除外されるのは大きな損失だ」とこぼす。
空の玄関口、新千歳空港から車で約1時間というアクセスの良さから、東京からの観光客も多い。それだけに野口さんはショックを隠しきれない。「東京の感染状況を見ると、仕方ない」と理解も示す一方、政府の対応について「ネット予約では(客の)住所を確認するのは難しく、東京からお客様が来た場合の対応も不明。キャンペーンに関し、情報が少ない」と不満を漏らした。【斎川瞳、李英浩、源馬のぞみ】
これも後出しジャンケンのような書き込みになりそうですが、むしろ、「Go Toトラベル」をしない方が、ゆるやかにでも、着実、確実に旅行客が増えたのではないか、と思います。
結局、東京オリンピックの延期がらみ、アベノマスクや給付金や今回の「Go Toトラベル」にしても、純粋に困っている人を救済しよう、という建前の中に、利権という不純な動機がからんでいるので、うまくいかないのだと思います。
となると、今回の「Go Toトラベル」でおきる「Go Toトラブル」は、天災ではなく、人災ですよ。