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新型コロナウイルスの影響で延期されていた国税庁の集団形式での新任職員
研修が、埼玉県や大阪府など全国4カ所で再開した。同庁は感染対策に全力を挙げるが、研修生からは「クラスター(感染者集団)が発生する危険を冒してまで、集合で実施する必要があるのか」と疑問の声が出ている。
国税庁は毎年4月から、全国の国税局などで採用された新任職員向けの研修を実施。研修生は3カ月〜1年間の寮生活を送りながら、税務の知識などを学ぶ。今年度も予定していたが、中止を求める声がSNS上で拡散。国税庁は4月5日までに在宅での研修に切り替えると発表し、研修生を帰宅させた。
再開したのは高卒程度の職員約820人を対象とした普通科研修。6月19日に政府がイベントなどの開催制限を緩和したことを受け、7月6日から順次再開した。研修生や教職員に毎朝検温させるほか、不要不急の外出を控えるよう指導。密集を避けるため研修生は複数の教室に分散して授業を受けているという。
しかし、大阪研修所で研修を受ける男性は「対策は不十分で危険な状態」と訴える。食堂では対面で座ることが禁止されたが、昼食時は大勢が集まり「密」な状態だといい、「なぜこのタイミングで再開したのか。在宅に戻すべきだ」と憤る。
埼玉県和光市の寮にいる男性(19)の母親も、食堂や売店が閉まる休日は多くの研修生がコンビニなどに行かざるを得ない状況だと聞き、「子どもを託していいのか心配だ」と漏らした。
国税庁の担当者は「研修は社会人としての規律や心構えを身に付けさせる意味合いも強く、オンラインでは指導が行き届かない」と説明。体調管理や「3密」対策などを徹底していると強調し、「研修生の不安解消に努めたい」と話した。