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名古屋大の研究グループは近く、7月豪雨で倒れた岐阜県瑞浪市大湫町の樹齢1200〜1300年とも伝わる県天然記念物の神明大杉を活用し、過去千年間の気象の分析を始める。2、3年をめどに、大杉の年輪からこの地方の降水量や気温などを計測し、千年分のデータを取り、気候変動の研究に生かす。
研究するのは、名古屋大大学院環境学研究科の中塚武教授(古気候学)のグループ。研究テーマは「神明大杉の年輪セルロース酸素、水素同位体比の分析による瑞浪市大湫町における過去千年間の気象・気候災害史の復元」。主に根から20メートルの部分の年輪から化学物質を測定し、各年代の気象データを記録する。
文化財の年代決定の基礎研究にもつなげる。中塚教授によると、大杉は、倒木まで順調に成長を続けており、サンプルとして良好な状態。樹齢千年超というサンプルは近年では珍しいという。28日に現場を視察した中塚教授は「大杉は、開けた所で育ったのか、年輪が広い。1年単位のデータだけでなく、細かな気象の変化も分かる可能性がある」と期待した。近くサンプルを名古屋大に持ち帰り、研究に着手する。
また、大湫地区の住民らでつくる「神明大杉再生検討会議」は同日、他に2件の神明大杉に関する研究を受け入れることを決めたと公表した。境内に横倒しのままとなっている大杉の一部を切断し、地元在住の彫刻家が作品に仕上げる構想も明らかにした。
大杉は神社のご神木。高さ約40メートル、幹回り約11メートル。7月11日深夜に根元から倒れた。大雨の影響で地盤が緩んだためとみられる。
岐阜新聞社