菅義偉官房長官は9月2日、記者会見し、安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選への出馬を表明した。官房長官としての姿は知っていても、その“素顔”は意外と知られていない。後編は妻や3人の息子について、そして政治家として引退までに「これだけはやりたい」こと……。『 週刊文春WOMAN 2019夏号 』に掲載されたロングインタビューを掲載する。??年齢、年数等は2019年7月の取材時のものです。
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当時6カ月、3歳、6歳の3人の息子を抱えて、戸別訪問などで陰ながら菅氏を支えてきたのが真理子夫人だ。不思議なことに、菅氏のインタビュー記事を検索しても、夫人についてのコメントはほとんどない。
――夫人と出会ったのはいつ頃ですか。
菅 (気まずそうに宙を仰ぎながら)小此木事務所にいた女性秘書のお姉さんでした。家事手伝いみたいな感じで、事務所にもよく顔を出していたんです。
――ご結婚されたのは?
菅 30歳じゃないですかね。
――夫人についての記事がほとんど見つかりません。
菅 本人は表に出るのが大嫌いなの。
――政治家の妻タイプだと見込んだわけじゃないんですね。
菅 全然ない。外に出るのが嫌いな人。でも私も政治家になるつもりはなかったですから。
――政治家になると打ち明けたときはショックを受けられたのではないですか。
菅 だから選挙のときだけ手伝ってくれ、ほかは出さないからと。もう否応なしに。
――プロポーズの言葉を教えてください。
菅 それは全然覚えていない(苦笑)。
親父が就職のアドバイスをするようなのは一番嫌なんだ――ご家庭ではどんな夫、どんな父でしたか。
菅 もともと、夫婦間の会話が多いほうではありません。子どもには厳しかったですよ。いつも言っていたのは「中学高校では運動部に入れ」ということ。長男は柔道、次男はサッカー、3番目はバスケットをやりました。
――三男はその後、ご自身と同じ法政大学に進み、強豪の体育会アメリカンフットボール部に所属されたそうですね。
菅 はい。次男坊も東大でアメフトをやっていたんです。
――東大法学部を出られた息子さんですね。ご長男は?
菅 明治学院です。
――なぜ運動部入りを義務づけたんですか?
菅 私は仕事柄、家庭にあまりいられないので十分な躾ができないですから。部活というのは躾をしてくれますよね。部活をちゃんと続けられれば、社会に出ても、まあ一生飯は食っていけるだろうと思ったんです。
――いま息子さんたちを見て、その教育は正しかったですか。
菅 正しいかどうかはわからないですけど、3人とも、私に就職を頼んだりするのは一番嫌がる人間になりました。私も、親父が就職のアドバイスをするようなのは一番嫌なんだよね。
子どもたちが集まっていると、「おいっ! ちゃんと勉強してるか」と会話の中に入っていく
――「世襲はしない」と公言されています。
菅 私は世襲政治家を批判して出てきた人間だから、それだけはやっちゃいけない。「もし政治家になるんだったら、他の県に行って出ろ」と、昔から明快に言ってます。だから誰も言い出さない。3人とも民間の企業で働いています。
――新元号発表の前日に、ロックバンド「RADWIMPS」の野田洋次郎さんがツイッターで書かれてましたね。「菅の家に泊まりに行くとお父さんが帰ってきてあれこれ酔っぱらいながら話をしてくれた。少し目が怖いけど優しい人だった」と。
菅 三男の中学高校の同級生ですね。うちは3人とも運動部だから、それぞれの友達がいつも大勢泊まりに来ていたんです。でも、ひとつ訂正すると、酔っぱらってなかったですよ(笑)。
――たしかに下戸ですものね。
菅 うん。私、子どもたちが集まっていると、「おいっ! ちゃんと勉強してるか」とか言いながら肩を組んで、必ず会話の中に入っていくわけです。うちの子が「だめだ、だめだ」と言うんですけど。真面目な話は全然していない(笑)。だから酔っぱらって見えたのかもしれないな。
「全世代型社会保障制度の実現」を――最後に、今後について聞かせてください。政治家として引退までに「これだけはやりたい」ということはありますか。
菅 社会保障制度の改革ですね。今、安倍政権では新たなテーマとして「全世代型社会保障制度の実現」に取り組んでいます。これまでは社会保障全体の給付のうち高齢者向けが7割でした。これを全ての世代が安心して利用できる制度にして、次の世代に引き渡すことができるように、まず、若者や子育て世帯に大胆に投資をします。今度の消費税率引き上げの財源のうち約2兆円を幼児教育や大学の無償化にあてます。医療もこれまでは病気になってからの治療が中心でしたが、予防のためのインセンティブをつけて、健康寿命を延ばしていきます。制度の中にあるさまざまな無駄についても切り込んでいきます。これらの改革を残りの任期で着実に実現したいと思っています。
――安倍政権は女性活躍推進を掲げていますが、女性たちからは「何か変わっているだろうか」という声もあります。
菅 確実に変わっていると思いますよ。例えば、上場企業の女性役員の割合。第二次安倍政権発足時には1・6%だったのが、今は4・1%にまで上がっています。公務員の指定職でも1・9%が3・9%になっている。
――徐々にしか変わらないわけですね。
菅 例えば各省庁の幹部になるには政策についてそれなりの経験を持っていることが必要になりますので、男女問わずある程度時間をかけて育成する必要があり、急に何倍にも増やすのは難しいと思います。ただ目標値を掲げることで社会全体の意識が変わります。
女性の視点はすごく必要
――安倍内閣には女性の政治家が一人しかいません。候補者男女均等法ができて初めての国政選挙だった参院選では、自民党は女性候補の割合が15%と少ないままでした。
菅 女性に選挙に出てもらう仕組みを作っていかないといけませんね。女性の視点はすごく必要です。例えば「なるほど」と思ったのは、国内での乳児用液体ミルクの販売です。最近まで国内では販売基準がなかったわけですが、災害時に粉ミルクを作る水がなくなってしまう、と。私には気が付かない視点でした。
――「令和おじさん」として知名度も上がり、総理候補ナンバーワンと言われています。ポスト安倍を狙うお考えはありますか。
菅 知名度が異常なぐらい上がってビックリしています。何か恥ずかしくてしょうがない。正直「おじさん」と呼ばれるのはピンとこないですね(笑)。ポスト安倍については、皆さん話題にしたがりますが、安倍政権が3期目に入ったばかりですから、いま掲げていることをしっかりやっていくだけです。
――「令和」発表の際の青色のネクタイは真理子夫人が選ばれたそうですね。
菅 まあ、苦労かけてますしね。普段は記者会見などでテレビに出る機会も多いので、支援者の方々から会見でぜひ着けてほしいとお贈りいただいたものなどを着けていますが、元号発表の時くらいは女房に選んでもらおうと。たくさんネクタイを買ってきて、「ああでもない」「こうでもない」と私の胸に当てて迷っていましたね。「好きなやつにしたら」と言いましたが(笑)。
――ご夫婦で会話があったようで良かったです。
photographs:Takuya Sugiyama
菅 義偉
Yoshihide Suga
1948年12月6日、秋田県雄勝郡秋ノ宮村に農家の長男として生まれる。法政大学法学部卒。衆議院議員秘書、横浜市会議員を経て、96年、衆議院議員選挙に初当選。総務大臣などを歴任し、2012年12月より内閣官房長官を務める。
菅官房長官年表
1948年(昭和23年)12月6日
秋田県雄勝郡秋ノ宮村(現・湯沢市)の農家の長男として生まれる。父・和三郎は満州から引き揚げ後、「これからは米だけでは食べていけない」といちご栽培を始め、後に「秋の宮いちご」としてブランド化に成功する。母・タツは元教員。高校教師を務めた姉2人と弟の4人きょうだい。
1964年4月
雄勝町立秋ノ宮小学校、雄勝町立秋ノ宮中学校を経て、秋田県立湯沢高等学校に進学。
1967年
上京し、高校の就職課に紹介してもらった
板橋区の段ボール工場で働くが、数カ月で退職。
アルバイト生活に入る。
1969年4月
法政大学法学部政治学科に入学。
1973年4月
電気通信設備の点検を主な事業とする
「建電設備株式会社」に入社。
1975年
自由民主党所属(神奈川1区選出)の
衆議院議員小此木彦三郎の秘書となる。
1983年
小此木彦三郎が第二次中曽根内閣に
通商産業大臣として初入閣。
大臣秘書官に抜擢される。
1987年
横浜市会議員選挙に出馬し、初当選。2期務める。
1996年
第41回衆議院議員選挙に神奈川2区から自由民主党公認で出馬し、初当選。
以後、自民党副幹事長、総務副大臣、総務大臣(ふるさと納税を創設)、内閣府特命担当大臣(地方分権改革)、郵政民営化担当大臣、自民党幹事長代行などを歴任。
2012年12月
第二次安倍内閣発足時より内閣官房長官を務める。
(2016年7月7日に在職期間1290日となり、歴代1位の在職日数を記録)
2019年4月1日
新元号「令和」を発表。
「週刊文春WOMAN」編集部/週刊文春WOMAN 2019夏号
おいたちと家族の話しを聞くと、なんとか、その人となりが見えてくる。
奥さんと息子さん3人の話しを聞いて、これは、長期政権、頼りになる政権にな
る期待をさせてくれる。
唯一気になるのが、
https://www.hbig.net/blog/5257.html
菅官房長官の意を受けて動く和泉補佐官はなぜそこまでプレハブ宿舎の活用にこだわる
これは、今後の運営でわかってくることだと思います。
何度も繰り返すが、蓮舫氏が、自分の旦那をペット以下扱いをしていた、という
点で、もはや、リーダーの資格なし、と思ったが、今回の菅さんの記事は、逆に
リーダーとして、いいかもしれない、と思わせる内容でした。